治療を受けていない人を含めると、日本人の3人に1人は高血圧と言われます。「降圧剤を長く飲み続けると危ない」「塩分摂取と高血圧は関係ない」「そもそも〈年齢+90〉以内なら血圧は心配ない」――驚きの真実を明らかにしてベストセラーとなった、加藤雅俊さんの『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)から、「はじめに」をお届けします。
記事の終わりに、加藤雅俊さんの健康セミナーのご案内があります。
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本書を手にとっていただき、ありがとうございます。
本書は、健診の際に「血圧」の数値が引っかかり、念のため受診したところ、医師から今後、降圧剤を飲むように言われたが、一生この薬を飲まなくてはならないのかと不安になっている人、あるいは、「高血圧気味ですから、塩分を控えてください」と指導されたものの、減塩で味気無い食事なんか、できればしたくないと思っている人のための本です。
どうぞ安心してください。
じつは、薬に頼る前に、あなた自身にできることはたくさんあります。
むしろ、安易に薬を飲むことのほうが、逆に疲れやすくなり、健康を害し、老化を早める可能性がある、という危険について本書ではご説明します。
そもそも「高血圧」とは、体のしくみのなかで何を意味しているのか。 血圧の働きを正しく知ることによって、あなた自身の体に“常に正常な血圧の状態をコントロールする機能がちゃんと存在していることも知っていただきたいと思うのです。
まずは、ちょっと広い視点で、わが国における高血圧の実態を見てみましょう(図1参照)。
厚生労働省が3年ごとにおこなっている「患者調査」の平成26年の調査によると、高血圧性疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、1010万8000人。第二位である歯肉炎および歯周疾患331万5000人、第三位である糖尿病316万6000人とは1ケタ違う、ダントツの一位であることがわかります。
この高血圧患者数、前回の調査よりも約105万人増加しています。さらに性別でみると、男性は445万人、女性は567万6000人で、前回調査に比べて男性は63万人、女性は42万人の増加となっています。
患者数はぶっちぎりのナンバーワン。まさに、「国民病」と言われるのにふさわしい高血圧。 40代、50代ぐらいになると、周囲にも「健診で、血圧が引っかかっちゃったよ」という会話が増えてきます。そして、医師からは「高血圧を放っておくと、心筋梗塞や脳卒中など、死に至る重大な病気につながりますよ」と言われ、処方された降圧剤をしぶしぶ飲んでいる人も少なくないでしょう。
しかし、じつは「血圧が高いですね。じゃあ、薬で下げましょう」といういま一般的である対処法は、体に起こっている問題の解決にはならないばかりか、もっと怖い病気のサインを消してしまっている可能性があるのです。
薬剤師から言わせて欲しい!
私は独立して起業する前は、製薬会社に10年の間、研究、開発、学術などの職務を経験したのち、血液関連のプロダクトマネージャーを務めていました。そのときに、体の状態が如実に表れる血液って面白いな、と興味を深めていました。
ただ、薬というものに携わり、医療現場を見てつくづく感じたのは、薬はすべての病気を治す万能のものではないということ。結局のところ、薬の効果は症状を止めるにすぎない。血圧であれば、下げる目的だけです。
たとえば、打撲で腫れて痛いといった「急性」の症状や、てんかんの発作を抑えたいといった「先天的」な病気に対しては、薬を飲むことによって症状が抑えられて楽になり、通常の生活を送ることができる。これこそ、薬って素晴らしい! といえるメリットです。
しかし、症状がずっと継続する慢性疾患に対してはどうでしょう。「高血圧は体質のようなものだから、一生飲み続けましょうね」と降圧剤を当たり前のように処方します。
しかし、ちょっと待って下さい! 血圧が高いという理由だけで薬を飲むのですか。もし「血圧の上昇」が、心臓や脳の重大な病気を知らせるサインだったとしたら……。なのに、薬で安易に下げてしまっては、重篤な病気を見逃してしまいます。
慢性疾患というのはいつ治るか分からない、ゴールのない病気のこと。やはり慢性疾患で薬を処方する場合、長期使用になるため副作用が必ず出てくることを知って欲しいのです。
薬は全身の細胞に作用している
たとえば、頭痛薬は頭だけに効いていると多くの人が思っていますが、実は体全体の細胞レベルに効いています。だから同じ薬なのに、頭痛にも、月経痛にも効くのです。
降圧剤も同じで、血圧を下げる目的の薬が、全身の血液を回り各細胞に入っていくので、長期の服用によって心臓や血管、肝臓や腎臓にまで負担をかけています。薬剤師から言わせてもらえれば「長期間飲み続けても副作用もなく、体にも影響しないような薬はない!」のです。
また、人間には「耐性」があります。眠気覚ましだったコーヒーのカフェインも飲み続けることにより耐性ができて効かなくなるのと同じで、血圧の薬を長年飲み続けていると耐性ができて効きにくくなり、だんだんと強い薬になっていくのも心配です。
医師は体に発生する病気を治す勉強をしますが、薬についてのプロではありません。現実では、製薬会社が病院で開く「勉強会」を通して、薬について学んでいます。当然ですが製薬会社は、「自社の薬がいかに効くか」という良い面の説明がメインで、悪い面の説明に費やす時間は短く、出来ればオブラートに包んで隠したいのが本音です。残念ながら薬の決定権があるのは、医師です。ですから、薬についての副作用も自分ですすんで勉強をしなければ、ベテランの医師ですら知らなくて済んでしまいます。
考えてみてください。本来病院は、病気を治すところ。ですから、医師の仕事のゴールは「患者さんが病院に来なくても良いようにすること」であるべきです。ところが、今の医療はどうでしょう。病院に来なくなるどころか、患者さんの数は前述したとおり年々増え続けている。患者さんは、一生ずっと飲み続ける降圧剤を処方されています。これは薬剤師として納得がいかないですし、どうしても放ってはおけません!
世に出されている血圧の本は、医師が書くものがほとんどです。しかし、この本では「薬学」という視点から、血圧についての正しい情報をしっかりとお伝えしたいと思います。医師から「高血圧を放っておくと、脳も心臓も壊れますよ」と脅かされていた人も、勇気を持って「ちょっと様子をみさせて下さい」と断り、セルフメンテナンスができるようにしたい。
もちろん、重篤な病気につながる「見逃してはいけない高血圧」とは何かについても正しく解説しますので、ご安心ください。
減塩は必要なし
もう1つ、本書では「減塩と血圧」の真実についてもお話していきます。
そもそも塩分摂取と高血圧は関係がない、という研究結果も続々と報告されています。 昔からずっと「高血圧予防には減塩」と言われ続けてきました。
そのかいあって、日本人の塩分摂取量は50年前の半分に減少しました。ところが、高血圧患者が年々増加しているのはどうしてなのでしょうか。
たしかに、塩に含まれる塩化ナトリウムは血圧を上昇させる作用がありま すので、実際の食生活においては、塩化ナトリウムの含有量が少ない自然塩選びについてもお話しましょう。「減塩、減塩」とものたりない思いで食事をしなくても大丈夫。おいしく食事しながらの血圧コントロールは可能なのです。
本来は病を治すための薬がその人の体を治すことができていない、それどころか「一生飲む薬」というものを延々と処方する医療に疑問を感じ、私は年前に独立。西洋医学と東洋医学、食事、運動などさまざまな角度から心身を見つめる「予防医療」を実践してきました。
本書では、その中から高血圧の人にぜひおすすめしたい、2つのメソッドを紹介します。それが、「降圧ツボ」と「降圧ストレッチ」です。
「降圧ツボ」には、押してすぐに脳を介して自律神経に伝わり、血圧をその場で下げる働きがあります。さらに「降圧ストレッチ」は、年齢とともに低下する心肺機能と血管の柔軟性を取り戻すことで血圧上昇を抑える、という「高血圧体質の根治」に結びつくメソッドです。
血圧との正しい付き合い方を知り、そしてこのたった2つのメソッドを行うこと。それが、「高血圧」「減塩」「降圧剤」に振り回されるストレスから、あなたを解放します。
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続きは『薬に頼らず血圧を下げる方法』(アチーブメント出版)でお読みいただけると幸いです。また、5月16日(木)19時から、幻冬舎にて加藤雅俊さんの健康セミナーを開催します。降圧ツボ・降圧ストレッチの実技指導のほか、1人1人の疑問・不安にお答えする質問コーナーもあります。詳細・お申し込みは幻冬舎大学のサイトからどうぞ。
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